頻尿・夜間頻尿
若いころは一度寝てしまうと朝までぐっすりでしたが、年を取ると夜に何度も目が覚めトイレに行きたくなることがよくあります。
夜間頻尿の原因には大きく3つ考えられます。
1.夜間の尿量が増える
<抗利尿ホルモンの問題>
睡眠時に尿を濃縮するホルモン「抗利尿ホルモン」は、脳下垂体から分泌されて尿の量を調節しています。
しかし、年齢とともに抗利尿ホルモンの分泌が減り、夜間の尿の濃縮がうまくいかなくなり薄い尿がたくさん出るようになります。
<浮腫>
血管の老化や運動不足によって血管内の水分が血管外に徐々に漏れ出るようになります。
心臓や腎臓の機能低下の場合もが原因のこともあります。
この漏れ出た水分が就寝中に血管内に戻ってきて尿の量を増やしてしまいます。
<水分の摂りすぎ>
昼間、飲水過多で、日中処理できなかった余分な水分が就寝中に尿になって排出されることもあります。
2.膀胱の尿をためる容量が減る
膀胱は尿が溜まってくると膀胱内圧が上がり脳に信号を送りますが、加齢や膀胱の血流低下によって膀胱の柔軟性が低下すると時には膀胱内圧が急上昇し、尿量が少なくても尿意を感じるようになります。
これが膀胱の容量低下につながり夜間頻尿を引き起こします。
その他、男性では前立腺肥大、前立腺がん、夜間頻尿に限らず、女性では神経因性膀胱、過活動膀胱などがあります。
※過活動膀胱・・・・尿意切迫感(突然現れる強い尿意)で、頻尿あるいは切迫性尿失禁を伴う症状、尿が近くてトイレに行きたくなると我慢できなくなる、尿に行きたくなると漏れてしまう症状。
3.睡眠障害
高齢になるほど眠りが浅くなります。睡眠障害があることで起きてしまうという、本質的でない夜間頻尿もあります。
日常生活での改善方法
病院では多くは「抗利尿ホルモン」などの治療を行いますが、日常生活でもある程度改善はできます。
☆必要以上の水分は取らない。
☆年を取ると睡眠時間は6時間くらいで十分です。あまり早く寝すぎないよう気をつけましょう。
☆就寝前に入浴をゆっくりすることで膀胱の血流が良くなって膀胱の柔軟性が上がります。
尿漏れ
・骨盤底筋が緩み、尿道を締め付ける力が低下、くしゃみや咳、重いものを持ったりするとお腹に圧力がかかり尿が漏れてしまう。
・膀胱筋の弾力性がなくなり、尿をためられなくなり昼夜を問わず頻繁に尿意をもよおしてしまう。またトイレまで間に合わなくなる。
・前立腺肥大症は男性特有の症状で男性ホルモンのバランスがくずれ前立腺が肥大して尿道を圧迫、尿の勢いがなくチョロチョロとしか出なくなり残尿感や頻尿を招いてしまう。
中医学での頻尿のとらえ方
腎虚(じんきょ)を改善
中医学での頻尿は病名ではなく症状のひとつと捉えられています。
腎陽虚 | 腎に集まった津液は腎陽により温められて必要な津液はリサイクルされます。 腎陽が不足していると津液を蒸発しきれず膀胱に送られる尿量が増えて頻尿が起こります。 身体特に背中や腰を温めて腎陽を補う養生を行います。 |
腎陰虚 | 膀胱の閉開をコントロールしている腎が虚している、つまり頻尿を我慢できない状態です。 尿量は比較的少ないのにすぐにトイレに行きたくなります。 熱を冷まして陰の成分を補い腎そのものの働きをよくする補腎の養生をします。 |
膀胱湿熱 | 脂っこいものや辛い物の食べ過ぎで体にこもった湿熱が膀胱に及んだ状態です。 膀胱に炎症が起こり膀胱炎の症状(排尿時の熱感や痛み、残尿感、排尿困難)が現れます。 食の不摂生などからも起こるので食生活を改善し体から湿熱を取り除く養生をします。 |
肝気鬱結 | ストレス、イライラにより肝の気を流す「疏泄作用」が失われ気の流れが悪い状態です。 気の流れが悪いと尿意が急に襲ってきたり便秘や下痢を繰り返す症状が現れます。 ストレスを溜めないようゆったりと過ごし気を巡らせて流れを改善する養生を行います。 |
肺気虚 | 肺は全身の水分代謝を主っていますが肺が弱ると津液が全体に行きわたらず膀胱に下降します。 特に疲れた時に頻尿が現れ、むくみや発汗の異常、息切れ、呼吸が浅くなるといった症状も。 十分に睡眠をとり、補気食材を食べたり気功・呼吸法などで気を補う養生を行います。 |
腎の養生
腎が喜ぶ味は「鹹味(しおからい味)」と「黒い食材」です。
膀胱と腎は経絡でつながり、腎を補うと膀胱も丈夫になります。
<黒い食材>
黒ゴマ・黒きくらげ・昆布・わかめ・海苔・黒米・玄米・黒豆・黒酢・椎茸・そば
<鹹味の食材>
いか・たこ・くらげ・かに・牡蠣・アサリ・シジミ・昆布・わかめ・海苔・塩・醤油・味噌
栗は「腎の果」と言われ足腰を強くし体を温め老化防止の効果があります。
海老は腎陽を補い体を温めます。
これらは「腎」を補い、頻尿を改善する効果もあるため尿トラブルに悩んでいる方はぜひお試しください。